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アドルノ「流行歌分析」(1929年)

アドルノは「流行歌分析」("Schlageranalysen"1929年、邦訳『アドルノ 音楽・メディア論集』所収)で、珍しく具体的にポピュラー音楽を論じている。

以下、そこに登場する三曲。

『ヴィーデンにちょっといい宿があるんだ』
ZARAH LEANDER- "ICH WEIS AUF DER WIEDEN EIN KLEINES HOTEL"(EIN WIENER WALZER) EN VÅRSANTASI


アドルノは上の曲を「エセ印象主義」と手厳しく断じている(p118)。

『ヴァレンシア』ミスタンゲット
Mistinguett Valencia 1926


上の曲の歌詞はボードレールの「パロディ」(p127)だそうだ。

『奥さまお手をどうぞ』ジャック・スミス
Tango: 'I kiss your Hand, Madame' - Jack Smith


「インチキ臭い優雅さ」(p131)と、これまた手厳しい。

総じて歌謡曲における退化にも弁証法を適用させているアドルノの態度には賛否両論あるだろうが、上記の分析はかなり詳しいものでもあるので勉強になった。アドルノに批判的な中村とうよう氏あたりの意見も聞きたい。
by yojisekimoto | 2010-05-14 12:50 | 音楽


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