ゲーデルによる神の存在証明

神の存在証明はアンセルムスやデカルトなどによるものがありますが、「不完全性定理」で有名な論理学者のゲーデルは晩年、神の存在論的証明について書き残しています。
以下、不完全な要約ですが箇条書きで簡単に述べます(高橋昌一郎『ゲーデルの哲学』↓講談社現代新書p217-8参照)。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/406149466X/sr=8-2/qid=1163578933/ref=sr_1_2/503-5582828-5887142?ie=UTF8&s=books

ゲーデルによれば、神は肯定的性質(=神性G)のことです。
任意の肯定的性質Pに対して、Pを持つ対象が少なくとも一つはあり得ます。
したがって、神性Gを所有する対象Xが少なくとも一つ存在する可能性があります。
この結果、Gを所有する対象Xが少なくとも一つ存在します。
さらにその対象Xは、Gを唯一持つ対象です。
ゆえに、唯一の神が存在する、

ということらしいです。

スピノザのように公理と定義と定理を前提にして、しかも論理記号を駆使するので素人にはわかりづらいですが、興味深いです。
ちなみにゲーデルは、タイムマシーンに関して、宇宙が膨張していないという前提で可能だと述べています。
そもそも「肯定的」な性質は(「否定的」性質とともに?)偏在するという東洋的な考え方も可能だと思うので、ゲーデルの証明はひとつの試みということになるでしょう。

////////////////////////////

追記:
以下の書き込みがネット掲示板にあったのでメモとしてつけたします。(2007.11/5)

198 名前: 走召 糸色 文寸 ネ申 Mail: 投稿日: 2007/11/05(月) 08:38:27 [ 0 ]

P(φ) φは肯定的(またはφ∈P).
公理1.P(φ).P(ψ)⊃P(φψ). 任意の数の連言
公理2.P(φ)∨P(~ψ). 排反的選言
定義1.G(x)≡(φ)[P(φ)⊃φ(x)](神)
定義2.φEss.x≡(ψ)[ψ(x)⊃N(y)[φ(y)⊃ψ(y)]]. (xの本質) xの任意の二つの本質は必然的に同値である。
p⊃nq=N(p⊃q).必然性
公理3.P(φ)⊃NP(φ)
~P(φ)⊃N~P(φ)性質の本性より導かれる。

定理.G(x)⊃GEss.x.
定義.E(x)≡(φ)[φEss x⊃N(∃x)φ(x)].(必然的存在)
公理4.P(E).
定理.G(x)⊃N(∃y)G(y),
  ゆえに(∃x)G(x)⊃N(∃y)G(y);
  ゆえにM(∃x)G(x)⊃MN(∃y)G(y).(Mの可能性)
M(∃x)G(x)⊃N(∃y)G(y).
M(∃x)G(x)は、肯定的な性質すべてを含む体系が両立可能であることを意味する。なぜなら、
公理5.P(φ).ψ⊃nψ:⊃P(ψ),よって
x=xは肯定的
x≠xは否定的。
199 名前: 走召 糸色 文寸 ネ申 Mail: 投稿日: 2007/11/05(月) 08:39:39 [ 0 ]

デカルトの存在論的証明
仮定1 神は完全である。(定義)
仮定2 もし神が完全であれば、神は存在する。
結論  ゆえに神は存在する。

アクィナスの神の宇宙論的証明:ア・ポステリオリ証明
仮定1 全ての結果には、原因がある。
仮定2 因果関係は、無限に連鎖しない。
結論  因果関係の最初に、第一原因(神9)が存在しなければならない。(必然性)

アンセルムスの神の存在論的証明:ア・プリオリ証明
定義  神は、それよりも大なるものが可能でない対象である。
仮定1 神は、理解において存在する。
仮定2 神は、事実において存在する可能性がある。(可能性)
仮定3 もし任意の対象が、理解においてのみ存在し、事実において存在する可能性があれば、その対象は、それ自身よりも大なる可能性がある。
背理4 神は理解においてのみ存在すると仮定する。
背理5 神は、神自身より大なる可能性がある。
背理6 神は、神自身よりも大なるものが可能な対象となる。
背理7 それよりも大なるものが可能でない対象が、それよりも大なるものが可能な対象となる。
背理8 神は、理解においてのみ存在することはない。
結論  神は、事実において存在しなければならない。(必然性)
[PR]
by yojisekimoto | 2006-11-15 18:52


<< 三島由紀夫の心中 スピノザとディープ・エコロジー >>