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ヘーゲルとパーソンズと柄谷:メモ

ヘーゲルの体系とパーソンズのAGIL図式は、三角形と四角形の違いはあるが、共にフラクタル構造になっている。
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↑ヘーゲル『エンチクロペディー』全体系の図解。
http://www.hegel.net/en/e0.htmより
(上記サイトは、画像をクリックすると詳細。七カ国語に対応。日本語はない。)
http://www.geocities.co.jp/NatureLand/4270/natphi/hegel.html
(↑日本語で図解された、論理学、自然哲学。色分けはこちらの方が優れている。)
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↑パーソンズAGIL図式(四機能図式)wikipediaドイツ版
http://de.wikipedia.org/wiki/AGIL-Schemaより
(『経済と社会2』他参照)

パーソンズは大学や家族の分析にもこの図式を使っているようだが、映画製作の分析にも使えると思う。
ハリウッド映画と作家映画とでは違うだろうし、観客をどこに入れるかも迷うところだ(*)。

パーソンズの『政治と社会構造』を訳した新明正道は、大正時代にプルードンの『財産とは何ぞや(所有とは何か)』を訳しているし(T10、発売禁止)、作田啓一も『行為の総合理論をめざして』を訳している。
特に作田のプルードン概念図↓は、パーソンズの影響にあると言えるだろうが、プルードンとパーソンズをつなぐものとして興味深い。

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↑『プルードン研究』岩波書店、河野健二編より

先のヘーゲルは通時的、パーソンズは共時的だが(『社会類型』においても共時性が強調される)、柄谷の4つの交換図などはその両方を兼ね備えている(最近では歴史社会学者のマイケル・マンが似たような通時-共時的分析を行っているが、技術、軍事力といった変数を追加しているところが柄谷と違う)。
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↑(『世界共和国へ』他参照)

柄谷のアソシエーション=Xは、パーソンズのL(Latency=潜在性)にあたるだろう(より外枠の生命システムを当てはめるなら、テリックtelic system=究極的目的システムに相当するかもしれない**)。
あくまでも柄谷は仮象としてアソシエーションを措定するのだ。
作田なら、同じ構造がアソシエーション内部にあると言う所だが、柄谷はそうしたフラクタルな構造を(Xという文字で)45度の角度で一旦否定しているかのようだ。これは柄谷が、アソシエーションを事後的に考えるのではなく、事前的に考えているということだ。むろん宗教などに関する柄谷の評価は、パーソンズと一致する部分もある(主意主義を貫いたパーソンズは特に晩年のカント評価、特に telic system を超越論的仮象としての導入している点において柄谷と共通性がある)。

柄谷の場合は交換の諸相であるが、パーソンズは個々のエレメント同士が「交換」をする↓。
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http://arekore.nobody.jp/media.html より
ただし、これは『トランスクリティーク』(岩波版p361〜)でも指摘されているように、単一体系を前提としているということになりかねない。


追記:
「3」と「4」のどちらを使った分析法が正しいかについては以前サッカーに関連づけて書いたことがある。また、最近話題になったiPS細胞に関しては、4つの遺伝子で作製可能だが3つの遺伝子でも時間はかかるが可能らしい。


注:*

あえて書けば、

制作者  監督
Aa    Ag
シナリオ 俳優
Al    Ai

(参照:『経済と社会2』)
となろう(作家映画とハリウッド映画では監督と俳優が逆になるだろう。上記は作家映画の場合)。
野球チームを例にとると以下になるそうである。
http://www7.ocn.ne.jp/~ooguro/css07.htmより

(A) 備品・予算・選手獲得
↑ |
(G) 監督のリーダーシップ
| |
(I) 自発的チームワーク・チームの親睦
| ↓
(L) ルールに対する遵守

また、パーソンズはフロイトを援用し、

A娘、G息子
L父、I母

という家族分析をしているようだが(『人間の条件パラダイム』他----この晩年の書には自ら「頑固なカント主義者」(邦訳p160)を自称するなど、パーソンズのカントへの傾倒が見られて興味深い)、
これは、ヘーゲル流に、

 嬰児
父  母

と、まとめることも出来る(参照:「愛」『初期ヘーゲル哲学の軌跡』所収)。
これはドゥルーズの批判するエディプス的三角形の典型でもある。

注:**
以下の図を参照するとわかりやすいかも知れない。
『人間の条件パラダイム—行為理論と人間の条件第四部 』(p264)富永健一作製の図↓
(条件づけの順序のAGILではなく制御の順序であるLIGA図式になっている。)
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生命システムにはカントの三批判書が対応する(同書p82,150?,158,161参照)↓。
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追記:
パーソンズによれば、LIGA図式にはそれぞれのレベルに思想家が対応している。
カント、フロイト、マルクス、デュルケムの位置づけが以下のようになされている。
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個人的にスピノザを新たに導入し、LIGA図式を描き直してみた↓。
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プルードンは(i)ではなく、ひとつ左の信託システム(L)の位置に来るかも知れない。
by yojisekimoto | 2007-12-13 17:50 | パーソンズ


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