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マルクス経済表:再生産表式バージョン

マルクス経済表:再生産表式バージョン(まとめ

                 産業利潤
                  /| 利子
                 / |/ |地代
                /__/__/ |     
                 / |  | |    
       (労働賃金) (利潤) |__|_|      
        |\      |     ↓         
        | \     |     \___________
1機械と原料  ↑  \     ↑                  \
 不変資本  可変資本 \ 剰余価値   生産物(機械など生産手段) | 
        |    \  |    /             |
        |_____\_|   /              |
          /    \   /               |
         /      \ / 産業利潤  利子 地代    |
        *        / /___|_/_|_/|    |
       /        / \/   ↓    ↓  ↓    ↓
      /(労働賃金)  /  /\   |  /  /     |
     /   | |  /(利潤) \  | /  /      |
2生活手段    ↑  | /  ↑    \ |/__/      /
不変資本   可変資本|/ 剰余価値   生産物_________/
           /        //(パンなどの消費手段)
          /|___→___//
         /         /
        /         /
       /         /
      /         /
     /   ______/_
3総生産物   |       |
 不変資本  可変資本   剰余価値   生産物

資本論のように生産手段の部門を先にすると、斜めに平行な直線が引ける。
上の部門の成果が下の部門の現実的前提になる。

労働賃金は消費生産物と交換されるので両部門とも2部門の生産物と交換されることで循環し、利潤は生産手段及び総生産物の部門に移行する。
部門1の労働力で得られた賃金で部門2の不変資本(=機械など生産手段)が購入されるが、資本家が剰余価値から追加的資本へ振り分ける額を増大した場合、拡大再生産となる(*において、左下=右上のとき単純再生産、<だと拡大再生産)。


なお、本来のマルクス経済表=再生産表式の草稿は以下の順序、

                産業利潤
                 /| 利子
                / |/ |地代
               /__/__/ |     
                / |  | |    
       労働賃金    利潤 |__|_|      
         | \    |    |       
         |  \___|___ |    
1生活手段    |      |   \|   ____  
不変資本   可変資本     剰余価値 生産物/__  \  
(生産設備)(給料+原料)  (利益) // |   \  \
    \      ________// 産業利潤 利子 地代
     \____↑_       /  /____/  /
       労働賃金 \*    /  利潤______/
        |  __\___/_  /
2機械と原料  | |     /  |/
 不変資本  可変資本    /剰余価値 生産物(機械など生産手段)     
       _______/_______/
      /      /
     /      /
    /   ___/______
3総生産物   |         |
 不変資本  可変資本     剰余価値 生産物

*(=のとき単純再生産、<だと拡大再生産)


絶対地代と差額地代の違いを図示すると以下のようになる。

地主の特権化←絶対地代 差額地代
(不変資本へ)  /_/   |
         /     |
産業利潤 利子 地代     |
  /_/__/       |
  /            |
 利潤            |
(↑利潤へ還流?)       ↓
資本の有機的構成を高める(可変資本へ)




/////////


以下のように利潤部門を省略し、



1機械と原料                  
 不変資本  可変資本   剰余価値   生産物(機械など生産手段)       
        |_______|   /              
          /        /               
         /        / 
        /        /
       /        /   
      /        /     
     /        /         
2生活手段        /              
不変資本   可変資本 / 剰余価値   生産物(パンなどの消費手段)
           /         /
          /         /
         /         /
        /         /
       /         /
      /         /
     /   ______/_
3総生産物   |        |
 不変資本  可変資本   剰余価値   生産物


さらに数値を書き込むとわかりやすい(数値はマルクス経済表のもの)。   


1生活手段            
 不変資本  可変資本        剰余価値  生産物  
 400\  100         200  /700   
     \                 / 
      \               /  
       \             / 
        \           / 
         \         /   
         _\_______/_  
2機械と原料  /        /  \
 不変資本  可変資本     /  剰余価値  生産物
 533   133     /   266  /933
 1/3   1/3    /    2/3 / 1/3
       ______/________/
      /     /
     /     /
    /    _/________
3総生産物   /          \
 不変資本  可変資本        剰余価値  生産物
 933   233         466  1633
 1/3   1/3         2/3   1/3





『資本論』の再生産表式の記述順にし、総生産を加えると、以下になる。


1機械と原料             
 不変資本   可変資本       剰余価値  生産物  
 533     133       266   933
 1/3     1/3       1/3   1/3
         \_________/     /   
            /           /   
           /           / 
          /           / 
         *           /   
        /           /
       /           /
      /           /  
2生活手段/           /  
 不変資本   可変資本    /  剰余価値  生産物
 400     100   /    200  700
              /         /
             /         /
            /         /
           /         /
          /         /
         /         /
        /         /
       /         /
      /    _____/__
3総生産物/    /        \
 不変資本   可変資本        剰余価値  生産物
 933     233         466 1633
 1/3     1/3         1/3  1/3


*(左下=右上のとき単純再生産、<だと拡大再生産)


追記:
ちなみに、相田慎一『経済原理入門』(p213-)によると、
拡大再生産のとき、



生産部門
_________
↓        |
C   V   M(Mc   Mv  Mk)  
   __       _____
    |________|               
        / 
       /
      /   
2    *            
消費部門/        
___/_____
↓        |
C   V   M(Mc   Mv  Mk)

もしくは、



C   M(Mc)  V  M( Mv  Mk)  
↑_____|  __________
         /          
        / 
       /
      /   
     *            
2   /        
___/__
C   M(Mc)  V  M( Mv  Mk) 
↑_____|



1(V+Mv+Mk)=2(C+Mc)


不変資本C
可変資本V
剰余価値M
追加的不変資本Mc
追加的可変資本Mv
個人的消費Mk
利潤率p'=(剰余価値v/総資本C)。この場合、総資産C=不変資本c+可変資本v、としてC(総資本)とc(不変資本)を必要に応じて使い分ける。

まとめ:図をまとめると(固定及び流動資本の区別、利子の種類も追加、数値および生産物の還流は省略)、


 第1部門
 機械と原料                       _追加的不変資本Mc    
                      産業利潤__/_追加的可変資本Mv **                    
固定     流動            /      \_個人的消費Mk **       
資本     資本           /_利子_単利 
\機械)(原料/\          /    \複利   __差額地代
(土地 消耗品) \        /___地代_____/_#絶対地代 
  \  / (労働力)     /                  
 不変資本  可変資本  剰余価値  生産物      
       **________  /               
           /      /          _追加的不変資本Mc **                    
 ____+    *      /    産業利潤__/_追加的可変資本Mv               
「        @      /    /      \_個人的消費Mk          
|       /      /    /_利子_単利 
|第2部門  /      /    /    \複利   __差額地代           
|生活手段 /      /    /___地代_____/_#絶対地代          
|    /      /    /                    
|不変資本  可変資本/ 剰余価値 ☆生産物  
|**       /        /      形態一:単純な価値形態       
|        /        /           (相対的価値形態=等価形態)  l=・
|       @        @          二:拡大された価値形態       l
|第3部門  /        /      貨幣     (相対的価値形態=n等価形態) |\\
|総生産物 / _______/      /  \  三:一般的な価値形態         ・・・
|    /               /    \   (n相対的価値形態        \\|     
|不変資本  可変資本  剰余価値  生産物     \   =等価形態、一般的等価物)    l
|              /            四:貨幣形態              g
|〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜/〜〜〜〜〜〜 〜      
|            /
本源的蓄積←ーーーーー公債、国債 

*:単純再生産の場合、1(V+M)=2(c)
**:拡大再生産の場合、1(V+Mv+Mk)=2(c+Mc)
@:交換過程(G-W-G)にある。単純再生産の場合はイコールになる。
 (なお、『経済学批判要綱』草稿バージョンを見ればわかるが、不変資本のすべてが交換過程に入る訳ではなく、
 交換過程に入るのは全体の1/10くらいをマルクスは考えていた。これは本源的蓄積の問題と重なると考えられる。)
☆:2の生活手段における生産物(パンなどの消費手段)は、
  この購入を通して3の総生産物の可変資本と剰余価値へと最終的に還流する。
#:絶対地代は利潤率(剰余価値/総資本C=不変資本c+可変資本v)が固定化。差額地代のように流動性がある場合は生産物の価格にそのまま転化する。
  固定資本(消却が複数年度で価格に転化)、流動資本(消却が単年度で価格に転化)の違いはこうした回転率の問題と関わる。

  ちなみに労働者側からの視点で、剰余価値率{剰余価値/(可変資本=労働力)}の方が固定していると仮定した場合、
  利潤率は生産価格のなかに配分されることで、どの分野の資本においても確保されるとマルクスは考えた(参照:定本柄谷第三巻p384)。

不変資本c、可変資本V、
剰余価値M、追加的不変資本Mc、追加的可変資本Mv、個人的消費Mk

複利の場合の数式はs=c(1+z)^n。
sは資本+複利の合計、cは前貸資本、zは利子率、nは年数(三巻24章)。
ただし、マルクスは利潤率は生産関係に内部化されるので、複利のメカニズムをとりだすことで搾取のすべてを説明することは出来ないとしている。ちなみに単利はs=c(1+z×n)。

価値形態論に関しては説明しないが、貨幣は基本的に総生産物を計量する国家/官僚の管理下にある。ゲゼルはこれを約20年でゼロ(週に0.1%の減価設定時)に減価させるプランをつくった。

本源的蓄積は、歴史的には暴力的な略奪でもあるが、国債などの公債や、なによりも生産者と生産手段の分離に端を発すると解釈した。

付記:
一:単純な価値形態(相対的価値形態=等価形態、例:リンネル=上着)
   ↓
二:拡大された価値形態(相対的価値形態=等価形態etc、例:リンネル=etc)
   ↓
三:一般的な価値形態(相対的価値形態etc=等価形態、一般的等価物、例:etc=リンネル)
   ↓
四:貨幣形態(etc=金)

参考:




by yojisekimoto | 2009-05-08 19:51 | マルクス


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