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イブン・シーナ

イブン・スィーナ(またはイブン・シーナ、Ibn SINA 980-1037)は西欧ではアヴィセンナまたはアヴィケンナの名で知られる近代医学の創始者。アリストテレスの百科全書的知識の後継者でもある。
『世界史の構造』(158頁)で世界帝国における合理的で総合的な知の例として、朱子、トマス・アクィナスと並べられていたので調べてみた。

『東方の医と知』に詳しいが、ヒポクラテスの四元素説を医学に定式化したことや、恋煩いの青年の相手を特定することでその病を治すエピソードが面白い。

「自然とは元素のこと
  混じり合っては体となる
 ヒポクラテスは正しくも
  水、火、土、風を説く
 証拠といえば肉体は 
  死して四元素に帰りゆく」


(『東方の医と知』152頁より。『医学の歌』としても邦訳〜〜草風館版だと上記の該当箇所は13頁〜〜がある。)


          黄胆汁ー火ー夏
             /\
            /  \
           /    \
         熱/______\乾
     血液  /|      |\  黒胆汁
     |  / |      | \  |
     空気/  |      |  \ 土       
     | \  |      |  / |      
     春  \ |      | /  秋   
         \|______|/        
         湿\      /冷           
           \    /               
            \  /                  
             \/ 
           粘液ー水ー冬

四体液、四元素、四季との関係図(『医学の歌』232頁より孫引き)


血液循環説を否定したので、現代医学からは評価されないが、その知の体系化は評価されていい。
むろん、その功績は医学にとどまらない。「救済の書」などは「誤謬の海に溺れることからの救済」を意味し、論理学、自然哲学、数学、形而上学(神学と倫理学とを含む)の四部門からなる予定だったという(中世思想原典集成11解説より)。

今のウズベキスタン出身で、旧ソ連時代に「アヴィセンナ」のタイトルで映画も作られている。




むろんアラブ圏(イラン?)制作のドラマもあった。




追記:
全然関係ないが以下最先端医療のビデオ、



参考:
以下、『カラー図解哲学事典』より、アヴェロエスとの比較。
上の図は以前紹介したダンテ『神曲』とイスラム文化との関連性を示す。
イブン・シーナ_a0024841_1851646.jpg

by yojisekimoto | 2010-10-05 23:46 | 歴史


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