「スピノザは神に酔った人間である。[562]( intoxicated with God,”der Gottbetrunkene Mensch)」というノヴァーリスの有名な言葉は、「断章と研究」1799−1800 『ノヴァーリス作品集3』(ちくま文庫342頁)に所収されている。ノヴァーリスはベンヤミンがドイツロマン派の天才と呼んだだけあって、論理的に興味深い点を含む。単なるアンチヘーゲルではない。ベンヤミン的でもある。アウフヘーベンを、天才的(228頁)とも錯覚(242頁)とも解釈し、両義的に捉えているのだ。
前掲書の一般草稿には「脱自」(エクスターゼ)をスピノザの目的(神への知的愛)と結びつける記述があり興味深い(291頁)。ハイデガーはカント的立場からこれらを無視したが、基本的には(ヘルダーリン経由だが)近い位置にいる。
その他、以下の様な記述もある。
「スピノザ主義ー流出論の体系」(278頁)
「快楽的な知(あらゆる神秘主義の根底にあるもの)というスピノザの観念は、最高に興味深いものである。」(282頁)
Cf. Fragmente und Studien 1799/1800 in which Novalis famously remarks, "Spinoza
is a God-intoxicated man" (HKA III, no. 562, p. 651).