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アリストテレスとハイデガーの倫理:メモ


アリストテレス『弁論術』第二巻(のうち第2~11章)は、情念論の原型である。アリストテレスは、

怒り2と 穏和3、
友愛と  憎しみ4、
恐れと  大胆さ5、
恥と   無恥6、
親切と  不親切7

という具合に、感情論を対になる感情の組み合わせで論じている。これらに続いて、

憐れみ8、義憤9、
妬み10、
競争心11

を取り上げている。
(参考:濱岡剛:不平等をめぐる感情)
http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~hamaoka/hamaoka/essays/indignation&envy.pdf


以下、藤江泰男氏作成、
         〈アリストテレスの中庸の徳・一覧表 〉

 項           不足         中間性       過剰
                        ・中庸 
恐れと平静       むこうみず      勇気        臆病
快楽と苦痛(自分)   無感覚        節制        ふしだら
財貨の供与と取得(小) さもしさ      (もの惜しみしない) しまりなさ
                       心の広さ 
財貨の供与と取得(大) 卑小         豪気        俗悪と陳腐
名誉と不名誉(大)   卑屈         高邁        虚栄
名誉と不名誉(小)   功名心のない人    無名称       功名心のある人
怒り          腑抜け        温和        怒りっぽい
言葉と行為(真)    おとぼけ       真実        はったり
言葉と行為・遊び(快) 野暮         機知        道化
言葉と行為・生活(快) つむじ曲り・気難しや 情愛        御機嫌取り・胡麻すり
情           恥知らず       恥を知る      引っ込み思案
苦痛と快楽(他人)   人の悪い喜び     義憤        嫉み
正義(第5巻)                全般的・特殊的正義

『ニコマコス倫理学』II-7 から作成。訳語も藤江泰男氏のもの。
http://ir.lib.sugiyama-u.ac.jp/dspace/handle/123456789/331

「徳とは選択にかかわる性格の状態(ヘクシス・プロアイレティケー)なのであり,そ
の本質はわれわれとの関係における中庸(メソテース)なのである,ということになる
が,その場合の中庸とは,道理(ロゴス)によって,しかも思慮ある人が中庸を規定す
るのに用いるであろうような道理によって規定されたものなのである 。」
(『ニコマコス倫理学』,II-6, 1106b–1107a. 40)



以下、村田久行『ケアの思想と対人援助』 65頁より、
キューブラー・ロス『死ぬ瞬間("Stafes" of Dying)』におけるチャートとの比較。
http://yojiseki.exblog.jp/7748670/
              死の先駆に関しては『存在と時間』#49-53参照。

    "Stafes" of Dyingと本来的な自己存在への移行表

 Stages    非 本 来 的       本 来 的
   of 
  Dying   空談 好奇心 曖昧性   沈黙 内省 決意性
   否認      @  @  @
   怒り      @  @  @
   取り引き       @  @      @  @
   抑鬱            @      @  @
   受容                   @  @  @

  『死ぬ瞬間』       『 存 在 と 時 間 』
by yojisekimoto | 2013-11-16 14:12 | ハイデガー


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