「新しいアナーキスト」D・グローバー(「現代思想」2004.5)より、
アナーキストの組織手段の具体例です。
解説:
傍観者(2)とは、邪魔はしないと関心集団(1)を見守る誓約に同意すること。これにより複数の価値観が共存する。
代表者会議(3)は複数の類縁集団(4)を調停し、そこでの問題は促進手段(5)で会議にかけられ(ブレインストーミング、これも傍聴のみ)、さらにそこでのトラブルは金魚鉢(6)と呼ばれる当事者同士の裁判で代表者が判断する。
図では超越的ポジションに置いてしまいましたが、「促進手段」(5)に関してはむしろ恒常的開催が望まれます。
いわゆるQとNAMの問題では、京都会議が代表者会議だったのですが、促進手段をネット上で公開したために「金魚鉢」による当事者同士の話し合いが不可能になってしまったと言えるでしょう(代表者が私信のメールをMLに流して感情転移がはじまったのがそもそもの起因です)。金魚鉢(6)を開こうにも第三者による調停者=代表者(3)が不在でした。
また、NAMにおける関心系は関心集団または関心ブロック(2)にあたりますが、NAMでは他の関心系のMLに参加していなければ情報は分断されていたので、傍観者(1)というよりも不可避的に部外者たらざるを得ませんでした。
デビッド・グレーバーはこうした組織論が、マダガスカルの先住民の組織運営と似ていると言っています。
追記:
同著者の『アナーキスト人類学のための断章』に対する柄谷行人の書評はasahi.comで読むことがきます。