ラッセルは『数理哲学』(Principia Mathematica)で集合論を援用して1+1=2を証明している。
画像は『数の悪魔』及びgoogle booksより。 ![]() ![]() http://pds.exblog.jp/pds/1/200409%2F21%2F43%2Fa0035543%5F42547%2Ejpg 上記ブログより 「『数の悪魔』(エンツェンスベルガー著、丘沢静也訳、晶文社)というのがある。 この本の217~219ページにラッセル卿(バートランド・ラッセル。1872~1970。享年97。長生きでしたね)が1+1=2を証明した、とさらっと書いてある。そしてその証明方法を記したものが示されている。」 ラッセル=ホワイトヘッドの証明はフレーゲの証明を考慮しなかったために、現在では先駆的意義のあるものとみなされていないが、それでも当時としては画期的だった。 それは集合論的帰納法に基づいているからだ。 ラッセルによれば各数字はその数の集合を代表すると見なされる。これで数字の意味づけが完成する。 さらに、ラッセルはペアノの定理を利用し、ゼロと順列を定義する。 どのような数字であろうともゼロから順列が続いていると定義するのだ。 そして、1+1=2の証明においては、(ここが重要だが)、1と1が集合論的に重なっていないことが確認される。 これは例をあげる必要がある。例えば夜空の星をふたりの人間が数えていて、ふたりともひとつづつ見つけたとしよう。 だが、ふたりの見つけた星が同じ星だとしたら1+1=2にはならない。ふたりの見つけた星がそれぞれちがうからこそ合計が2と言えるのだ。このあたりの説明が集合論を援用するとうまくいく。 (映画『ノスタルジア』『赤い砂漠』で、1+1が1であるという主張がなされるが、こうした手続きが間に介在されるところが芸術と数学の違いと言うことだろう。ただし、ふたりの人間が「地球」を数えているのだとしたら1+1が1にならなければ「数学的に」おかしいということになるだろう。アントニオーニの場合、人間は互いに重ならないという認識が冷たい作風を生んでいるのかも知れない。) さて、ラッセルは『プリンキア・マテマティカ』を一般向けにした『数理哲学入門』(河出書房、世界の大思想ほか)において、この辺りの考え方の基礎を分かりやすく説明している。(ラッセルは、今日では丸括弧であらわす数式記号をコンマで表したりしているので読みにくいというのも理由のひとつだが)それでも一般にはむずかしいのでなかなか認知されていないのが現状ではないだろうか。 参考: http://blog.plover.com/math/PM.html
by yojisekimoto
| 2008-06-06 21:14
| 数学
|
プロフィール
横浜在住。ナマケモノ倶楽部、TCX会員。参加している地域通貨は、Q(ID名は6463749)、三鷹seeds、鴨川安房マネー、多摩COMO、千姫プロジェクト(IDは「ヨウジ」)、千葉ピーナッツ、ccsp各種(IDはyojisekimoto)です。
フォロー中のブログ
カテゴリ
全体 研究 歌詞 書評 日記 柄谷行人 歴史 ヘーゲル マルクス ハイデガー 地域通貨 環境問題 プルードン パーソンズ フロイト くじ引き カント 横浜 スピノザ ライプニッツ ニーチェ 映画 SBS 旅 老子 スポーツ 数学 ディラン 黒澤明 音楽 インド哲学 文学 科学 心理学 ドゥルーズ 原発 仏教 百人一首 孔子 哲学 未分類 以前の記事
2016年 10月 2016年 03月 2015年 05月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 06月 2005年 05月 2005年 04月 2005年 03月 2005年 02月 2005年 01月 2004年 06月 検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||