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120年周期説

クイズです。いったい以下は何の絵でしょう?120年周期説_a0024841_034537.jpg

ヒント。以下のように逆さにするとわかりやすい。
120年周期説_a0024841_0351119.jpg

正解はイブン=ハルドゥーン『歴史序説』冒頭で紹介されている14世紀当時の世界地図です。

日本でも網野善彦(『日本の歴史』)や濱下武志(『沖縄入門』)が通常とは違って南北を逆さまにした日本の地図(富山県、沖縄がそれぞれ中心)を紹介していた。
ブローデルも『地中海』(第一巻邦訳p281)で同種の地図を採用していたが、『歴史序説』が念頭にあったのかも知れない(『地中海』はイスラムの扱いが通奏低音になっている)。

参考画像:

http://www.esri.com/news/arcnews/summer07articles/what-historians-want.html
こうした地図を見ると交易や当事者の世界観がわかりやすい。

さて、イブン=ハルドゥーンは同じ『歴史序説』(岩波文庫第一巻p440,442)で王朝は三世代120年以上は存続しないと述べている。
これは柄谷行人がウォーラーステインの影響で述べた120年周期説(注*)と奇妙に一致する。
柄谷は産業資本から金融資本、あるいは自由主義から帝国主義への移行を述べているので、国家が王朝のように三世代で徐々に堕落するという話をしている訳ではないが、興味深い一致だ。

『長い20世紀』の著者、ジョバンニ・アリギ(前述の濱下武志とも共同研究をしている)は、ブローデルの見解を引き継ぎ、システム周期は徐々に短くなる傾向があると言っているが、どうだろうか?
柄谷の説は人間の寿命を固定する意味で完全グラフ、理想的な状態を想定し、アリギは現状を追認しているだけかも知れない。

*注
以下メモです。

近代世界システムの歴史的段階 (2009.03.28長池講義レジュメ改変+メモ)
_______________________________________
      |1750ー |1810ー|1870ー|1930ー |1990ー 
      |1810  |1870 |1930 |1990  |      
______|______|_____|_____|______|______
世界資本主義|後期重商主義|自由主義 |帝国主義 |後期資本主義|新自由主義 
資本    |商人資本  |産業資本 |金融資本 |国家独占資本|多国籍資本 
世界商品  |繊維産業  |軽工業  |重工業  |耐久消費財 |情報  
______|______|_____|_____|______|______
国家    |絶対主義王権|国民国家 |帝国主義 |福祉国家  |地域主義
覇権国家  |      |英国   |     |米国    |   
______|______|_____|_____|______|______
傾向    |帝国主義的 |自由主義的|帝国主義的|自由主義的 |帝国主義的
______|______|_____|_____|______|______
反システム運動       1848        1968
世界大戦               1914           2034???

ヘゲモニー国家、アリギ説:
       イギリス130年     アメリカ100年          東アジア?(日本→中国?)
       (1740ー1870)  (1870−1930−1970)  

ジェノヴァ体制約220年
(1340?ー1560?)
オランダ180年
(1560ー1740) →アリギ説でも柄谷説でも金融支配はその後も続く。


上記図は「あっと」0号p7の図「世界資本主義の段階」とほぼ同じ( 順序を多少入れ替えた)。
「創刊50年朝日ジャーナル」p29でも同じ図が採録された。
定本第五巻p52に傾向とヘゲモニー国家のない初期バージョン(「世界資本主義の諸段階」)あり。
定本第三巻p412にも世界資本主義の諸段階の解説がある。

「キャピタル」「ステート」を別枠にした。
さらに「傾向」を「ネーション」として別枠にしたが、ベネディクト・アンダーソンの説とは逆にむしろウォーラーステインのいう「反システム運動」こそが「ネーション」にあたると言えよう。

自由主義(的)、帝国主義(的)の二項の反復は、一国が覇権をとった時期と、複数の国家が争う時期が反復することを示す(「国家と資本ー反復的構造は世界的規模で存在する」「創刊50年朝日ジャーナル」所収に詳しい)。

ちなみに上記図の書式を元に戻した上で転置すると、
____________________________________
       |世界資本主義|傾向  |覇権|資本  |世界商品 |国家 
______|______|____|__|____|_____|____
1750-1810|後期重商主義|帝国主義|  |商人資本|繊維産業 |絶対主義  
1810-1870|自由主義  |自由主義|英国|産業資本|軽工業  |国民国家  
1870-1930|帝国主義  |帝国主義|  |金融資本|重工業  |帝国主義
1930-1990|後期資本主義|自由主義|米国|国家独占|耐久消費財|福祉国家  
1990-2050|新自由主義 |帝国主義|  |多国籍 |情報   |地域主義   
______|______|____|__|____|_____|____

M-C-M'商人、産業資本から、M-M'-M''金融資本への移行を説明するジョバンニ・アリギ(『長い20世紀』)説ではシステムの周期(体制支配から能力限界へいたる期間の後も金融支配は続く)が短くなる傾向にあると言うが、妥当か?

以下、体制支配から能力限界へいたる期間(その後も金融支配は続く)についてのアリギの説のまとめ及び『長い20世紀』で紹介された図(p339)。

ジェノヴァ体制約220年(1340?ー1560?)
オランダ    180年(1560ー1740) 1740に移行開始
イギリス    130年(1740ー1870)
アメリカ    100年(1870−1930−1970)

(アリギ『長い20世紀』p342より。優位から成熟までの所要時間は減少傾向にある。)

『長い20世紀』(p339)で紹介された図(Sは予兆的危機、Tは終末的危機)↓
120年周期説_a0024841_1412079.jpg

左右のヘゲモニー国家の交差している期間が柄谷の言う「帝国主義的」な複数国家の覇権争いの時期にあたる。

追記、世界システム(経済/帝国)メモ:

世界経済  
 ジェノヴァ     オランダ      アメリカ  (香港) 東アジア? 日本  
 ヴェネツィア         イギリス       (シンガポール)    中国?    

世界帝国 
 モンゴル
トルコ  スペイン ロシア  フランス  ドイツ               中国?
by yojisekimoto | 2009-04-15 00:48 | 歴史


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