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プルードンの結論と定義

今年で生誕200年を迎えるプルードンの遺稿ほど興味深いものはない。
斉藤悦則氏が紹介しているが、そこには集合組織、集合行動、集合理性といったパーソンズを先取りする考察(手編・『進歩の哲学の諸原理』)があるし、『経済的諸矛盾の体系』の「結論」(手編・『経済学——社会哲学の新原理』)があるという。
それらは当然今日の哲学を予見している。
例えば、「器官なき身体」や「欲望する諸機械」というタームを定義なしに書き進めた『アンチ~』『千の~』におけるドゥルーズはそれとは知らずプルードンの以下の系列的思考法に近づいていたのだと思う。

http://www.minc.ne.jp/~saito-/travaux/economie.html

(以下、斉藤悦則氏の研究サイトより)

 <新たな方法論とは何か。それは「定義」から出発しないということである。あるいは,とりあえず経済の諸観念は定義不能であるとの断言から出発することである。しかし,この新たな方法論の意義がどういうものであるのかを知るためにも,われわれはプルードンにおけるこうした転換が何を契機としたものであるかを確認しておきたい。

 転換にとって決定的だったのは,52年と53年に出たコクラン編の『政治経済学辞典』35)である。プルードンはその4千項目を読み,読書ノートをつけ,「なかなか有益な考え方や貴重な教訓が含まれている」としながら,結論としては「しかし,科学は一歩も前進していない」36)と断ずる。そして,次のように述べる。

「経済学者たちの無能ぶりと科学の不条理さを目の当たりにして,私は仮説を変えた。つまり,定義された諸観念を使いながら前に進むのではなくて,未定義の観念から出発した方がよいのではないかと考えたのである」37)。」

(略)

35)主だった執筆者の名前を列挙すれば,バスティア,ブランキ,シュルビュリエ,ミシェル・シュヴアリエ,デュノワイエ,ガルニエ,モリナリ,レオン・セイなど,当時一流の陣容である。
36)Mss.2863(注:これは図書館による整理番号でプルードン『経済学』草稿はMss.2863-2867), no.10.
37)Mss.2863, no.72. >


さらに、以下の斉藤氏の脚注における別の記述を読むと、プルードンの世界観が、

        理想(宗教、道徳、芸術)

(政治→)経済学        論理学(哲学、科学)

といったように、どの分野も特権的にはあり得ずにラカンのいうボロメオの環のような三つ巴の構造を持っていたことも解る。

<24〕Mss.2866,no.126。三編の構成について,次のような記述もある。

「社会についての科学は大きく三つに区分されるが,それらは互いに類似し,相互補完的であり,相関的である。

 1.経済学,利害についての科学,政治学はこのなかに溶解する。

 2.論理学,あるいは哲学,諸理念の形成と分類と結合についての科学。

 3.理想,ここには宗教・モラル・芸術が含まれる。

 さて,経済学はもっとも最近になってできたものであるが,にもかかわらず他の科学の基礎であり,その軸をなす。われわれはまさにこの経済学から新たな探求の系列を開始することにしよう」。 >
by yojisekimoto | 2009-09-17 02:22 | プルードン


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