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スピノザ『エチカ』第三部付録:諸感情の定義(改訂版)

  3部緒感情の定義(説明及び参照指示は省略)          図TOPエチカ、感情の定義全文
<外部の原因1〜24><内部の原因(=性格?)25〜31><欲望32〜48>         

                        2の2様態
                           /\      完全性  小←→大
 反撥9                      /  \                     
 絶望15                    /    \                     好感8
  謙遜26                  /      \                    嘲弄11@
  後悔27                 /        \                   安堵14
  自卑29                /          \                 自己満足25
  恥辱31               /            \                名誉30
悲しみ3*_______________/____2の1属性_____\________________*喜び2
恐怖13*@    見くびり22*  /       /無限      \     *買いかぶり21 /*歓喜16
落胆17*\   憎しみ7*(@怒り36      /  \       \   *愛6帰依11  / *希望12(@恐怖13)
同情24* \   憤慨20 @復讐心37)   /    \       \     好意19 /  *ねたみ23
憐憫18   \        /_______/_1実体__\_______\   高慢28 /
        \      /悪      /   /\   \     善/\      /   
         \    /  \   知/___/__\___\至福  /  \    /
          \  /    \  /\  /    \  /\  /    \  /
           \/      \/  \/  神   \/  \/      \/      
           /\      /\  /\      /\  /\      /\
          /  \    /  \永遠、必然_本質、本性\/  \    /  \
    所産的自然/    \  /    \   \  / 能産的自然  \  /    \     
        /      \/______\___\/___/______\/      \   
       /      延長\       \  徳   /       /思惟      \ (外部1〜24、
      /          \       \5自由 /       /          \ 内部=性格?
    個物            \       \  /    努力 /            \25〜48)  
  物体/______________\_______\/_______/______________\観念
                  身体\    4道徳、理性    /精神(@軽蔑5)  
                     \            /
                      \     表象   /
                       \     驚異4/  
                        \ 軽蔑5(@嘲弄11)     
                         \    / 
                          \  臆病39
                      小心41*\/*大胆40
                           欲望1恐慌42鄭重43
                              思慕32競争心33感謝謝恩34慈悲心
                              35怒り@36復讐心37@残忍38
                              名誉欲44美味欲45飲酒欲46貪欲47情欲48
                           図TOP
<外部の原因>
1欲望 3悲しみ 2喜び
4驚異5軽蔑
7憎しみ8好感9反撥10帰依11嘲弄12希望13恐怖
16歓喜14安堵15絶望 17落胆18憐憫19好意20憤慨
21買いかぶり22見くびり
23ねたみ24同情
<内部の原因>
25自己満足26謙遜27後悔
28高慢29自卑30名誉31恥辱
<欲望>
32思慕33競争心
34感謝、謝恩35慈悲心
36怒り37復讐心38残忍
39臆病40大胆41小心
42恐慌43鄭重
44名誉欲45美味欲46飲酒欲47貪欲48情欲

付録:感情の諸定義
一欲望二喜び三悲しみ
四驚異五軽蔑六愛七憎しみ
八好感九反撥一〇帰依一一嘲弄一二希望一三恐怖
一四安堵一五絶望一六歓喜一七落胆一八憐憫一九好意二〇憤慨
二一買いかぶり二二見くびり
二三ねたみ二四同情

二五自己満足二六謙遜二七後悔
二八高慢二九自卑三〇名誉三一恥辱
三二思慕三三競争心
三四感謝三五慈悲心
三六怒り三七復讐心三八残忍三九臆病四〇大胆四一小心
四二恐慌四三鄭重
四四名誉欲四五美味欲四六飲酒欲四七貪欲四八情欲感情の総括的定義第三部TOPTOP図TOP

        諸感情の定義
  欲望とは、人間の本質が、与えられたそのおのおのの変状によってあることをなすように決定されると考えられる限りにおいて、人間の本質そのものである。
  喜びとは人間がより小なる完全性からより大なる完全性へ移行することである。    
  悲しみとは人間がより大なる完全性からより小なる完全性へ移行することである。

  驚異とはある事物の表象がきわめて特殊なものであってその他の表象と何の連結も有しないために、精神がその表象に縛られたままでいる状態である。
  軽蔑とは精神が、ある事物の現在によって、その事物自身の中に在るものよりもむしろその事物自身の中にないものを表象するように動かされるほど、それほどわずかしか精神をとらえるところのない事物の表象である。
 尊敬および侮蔑の定義はここには割愛する。なぜなら、私の知る限り、いかなる名称の感情もこの二者から導き出されていないからである。

  愛とは外部の原因の観念を伴った喜びである。
  憎しみとは外部の原因の観念を伴った悲しみである。
  好感とは偶然によって喜びの原因となるようなある物の観念を伴った喜びである。
  反撥とは偶然によって悲しみの原因となるようなある物の観念を伴った悲しみである。
 この二つについてはこの部の定理一五の備考を見よ。
 一〇 帰依とは我々の驚異する人に対する愛である。
 一一 嘲弄とは我々の軽蔑するあることが我々の憎む物の中に存することを表象することから生ずる喜びである。
 一二 希望とは我々がその結果について幾分疑っている未来あるいは過去の物の観念から生ずる不確かな喜びである。
 一三 恐怖とは我々がその結果について幾分疑っている未来あるいは過去の物の観念から生ずる不確かな悲しみである。
 一四 安堵とは疑いの原因が除去された未来あるいは過去の物の観念から生ずる喜びである。
 一五 絶望とは疑いの原因が除去された未来あるいは過去の物の観念から生ずる悲しみである。
 一六 歓喜とは恐怖に反して起こった過去の物の観念を伴った喜びである。
 一七 落胆とは希望に反して起こった過去の物の観念を伴った悲しみである。
 一八 憐憫とは我々が自分と同類であると表象する他人の上に起こった害悪の観念を伴った悲しみである。
 説明 憐憫と同情との間には、おそらく、憐憫は個々の感情を眼中に置いたものであり同情は憐憫の習性を眼中に置いたものであるという以外には何の相違もないように思われる。
 一九 好意とは他人に親切をなした人に対する愛である。
 ニ〇 憤慨とは他人に幸恵を加えた人に対する憎しみである。
 ニー 買いかぶりとはある人について、愛のゆえに、正当以上に感ずることである。
 ニニ 見くびりとはある人について、憎しみのゆえに、正当以下に感ずることである。
 ニ三 ねたみとは他人の幸福を悲しみまた反対に他人の不幸を喜ぶように人間を動かす限りにおける憎しみである。
 説明 ねたみには通常同情が対立させられる。したがって同情を言葉のもともとの意味から離れて次のように定義することができる。
 ニ四 同情とは他人の幸福を喜びまた反対に他人の不幸を悲しむように人間を動かす限りにおける愛である。

 ニ五 自己満足とは人間が自己自身および自己の活動能力を観想することから生ずる喜びである。
 ニ六 謙遜〔自劣感〕とは人間が自己の無能力あるいは弱小を観想することから生ずる悲しみである。
 ニ七 後悔とは我々が精神の自由な決意によってなしたと信ずるある行為の観念を伴った悲しみである。
 ニ八 高慢とは自己への愛のため自分について正当以上に感ずることである。
 ニ九 自卑とは悲しみのために自分について正当以下に感ずることである。
 三〇 名誉とは他人から賞讃されると我々の表象する我々のある行為の観念を伴った喜びである。
 三一 恥辱とは他人から非難されると我々の表象する我々のある行為の観念を伴った悲しみである。
 説明 この二つについてはこの部の定理三〇の備考を見よ。
 だが恥辱と蓋恥との相違をここに注意しなくてはならぬ。すなわち恥辱とは我々の恥じる行為に伴う悲しみである。これに対して羞恥とは恥辱に対する恐怖ないし臆病であって、醜い行ないを犯さぬように人間を抑制させるものである。羞恥には通常無恥が対置されるが、無恥は、適当な場所で示すだろうように、実は感情ではない。しかし一般に感情の諸名称は(すでに注意したように)その本性を表わすよれもその日常の慣用に関係しているのである。             
 これでもって喜びおよび悲しみの感情に関する予定の説明を終えた。だからこれから欲望に関係する感情へ移る。

 三二 思慕とは、その物を想起することによってそれを所有しようとする欲望があおられ、また同時にその物の存在を排除する他の事物を想起することによってその欲望が阻まれる、そうしたある物への欲望ないし衝動である。
 三三 競争心とは、他の人がある物に対する欲望を有することを我々が表象することによって我々の中に生ずる同じ物に対する欲望である。
 三四 感謝あるいは謝恩とは我々に対して愛の感情から親切をなした人に対して親切を報いようと努める欲望あるいは同様な愛の情熱である。
 三五 慈悲心とは我々の憐む人に対して親切をなそうとする欲望である。
 三六 怒りとは我々の憎む人に対して、憎み心から、害悪を加えるように我々を駆る欲望である。
 三七 復讐心とは我々に対して、憎しみの感情から害悪を加えた人に対して、同じ憎み返しの心から、害悪を加えるように我々を駆る欲望である。
 三八 残忍あるいは苛酷とは我々の愛する者あるいは憐む者に対して、害悪を加えるように我我を駆る欲望である。                                                                     
 説明 残忍には温和が対置される。しかし温和は受動ではなく、人間が怒りおよび復讐を抑制するような精神の能力である。
 三九 臆病とは我々の恐れるより大なる害悪をより小なる害悪によって避けようとする欲望である。
 四〇 大胆とは同輩が立ち向かうことを恐れるような危険を冒してある事をなすようにある人を駆る欲望である。
 四一 小心とは同輩があえて立ち向かうこと辞さないような危険を恐れて、自己の欲望を阻まれる人間について言われる。
 四二 恐慌とはある害悪を避けようとする欲望がその恐れる害悪に対する驚きのため阻まれる人間について言われる。
 四三 鄭重あるいは礼譲とは人々に気に入ることをなし・人々に気に入らぬことを控えようとする欲望である。
 四四 名誉欲とは名誉に対する過度の欲望である。
 説明 名誉欲はすべての感情をはぐくみかつ強化する欲望である(この部の定理二七および三一により)。したがってこの感情は、ほとんど征服できないものである。なぜなら、人間は何らかの感情に囚われている間は必ず同時に名誉欲に囚われているからである。キケロは言う、「最もすやれた人々も特に名誉欲には支配される。哲学者は名誉の軽蔑すべきことを記した書物にすら自己の名を著する云々」。
 四五 美味欲とは美味に対する過度の欲望あるいは愛である。
 四六 飲酒欲とは飲酒に対する過度の欲望および愛である。
 四七 食欲とは富に対する過度の欲望および愛である。
 四八 情欲とは性交に対する欲望および愛である。 

 感情の総括的定義(略)、図TOP
by yojisekimoto | 2009-10-11 21:57 | スピノザ


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