プルードンは晩年ベルギーに亡命してからはヨーロッパの国際政治について主に論じている。その論文「1815年の諸条約が存在しなくなれば?」(1863年発表)は、1815年のウィーン条約の有効性を17世紀の30年戦争を終結させたウェストファリア条約と結びつけ、擁護しているものである(論文タイトルは「1815年の諸条約が存在しなくなった」というナポレオン三世の演説に反論したもの)。
ポーランド、イタリアの統一に反対しているため誤解を与えるかもしれないが*、これは新たな戦争を防ぐためである。 実際連合の理念以外に戦争を防ぐものはないのだ。 その意味でプルードンが執筆当時に50年近く前の条約を蘇生させた試みは、今日の憲法第九条の擁護に似ている。 上記論文の結語近くの部分にはこうある。 「ウェストファリア条約は古代の戦争法および国際法を廃止しなかった。それは、それに実り豊かな調和的な制限すなわち均衡の思想をもたらしさえすればよかった。 同様に、ウィーン諸条約はウェストファリア条約を決して廃止しなかった。それらは、それによって課せられた原則に諸人民と諸国家にとって最も重要な思想、すなわち憲法の相互的保証の思想をつけ加えることによって、その連続となったのである。 諸国家間の平等の法則、各国家内部における平等の法則、これがマンステールとウィーンにおける討議から生まれた2重の思考である。 実際、これら2つから論理的に演繹される第3の思想が必要である。そして、それは、これらを完成し承認する物であり、国境区分の手直しという危険な道をとらずに、主権と統治の内部的分配によって、諸国家間の不平等から生ずる遺憾な結果を弱め、そしてさらに諸国民の自由を確保するものである。」 これらはまた、双務的契約を推奨する中で最大限自然法を重視する姿勢において、スピノザにも似ているかも知れない。 *注: プルードンは前年の1962年に『連合の原理』(1863)を予告するように「イタリアにおける連邦と統一」後半部でこう書いている。 「ひとはいう、ローマはイタリア人たちのものだ、と。わたくしは答える、ちょうどナポリがナポリ人たちのものでありパリがパリ人たちのものであるようにローマはローマ人たちのものだ、イタリア人というのは、フランス人たちと同様に、1つの抽象(une abstraction)であって、真実なのはフランスという名をもつ政治的一大集団(une grande agglome'ration politique)が現時点に存在しているということである、しかしそうかといってこの事実はアルプスのむこう側にその集団の対応物(統一イタリア)を作り出すための理由では全然ない、まったく反対である、と。」 参照: P.-J. プルードン著「もし1815年の諸条約が存在しなくなれば?〜〜来るべき会議の諸行為」(1) 〜(4) 翻訳 後藤修三 「中京商学論叢」 1964年、第11巻第1号通巻29、同(1) 1964年、第11巻第2号通巻30、同(2) 1965年、第12巻第2号通巻34、同(3) 1966年、第13巻第2号通巻39、同(4) 「イタリアにおける連邦と統一」(1)〜(3) 翻訳 後藤修三 1966年、第13巻第3号通巻40、同(1) 1966年、第13巻第4号通巻41、同(2) 1967年、第14巻第2号通巻43、同(3)
by yojisekimoto
| 2009-11-19 12:49
| プルードン
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